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FOODHALL koya
Food hall "eka" that conveys the charm of Koya's traditional crafts

Space design / 2021 / KOYASAN
Koyasan has given birth to numerous ideas over the 1,200 years since its founding. Here, there is a culture of religion and lifestyle nurtured by monks and people who support each other. However, due to the progress of aging and depopulation, there is a shortage of people who inherit Buddhism and the traditional crafts that support it. I want to protect the living culture that has been handed down from generation to generation by "craftsmen who do exquisite handwork", which has become a rare existence.

Therefore, we will use a part of the Koyasan University building, which is biased toward single-function services and is a space separated from the townscape, to create a space where craftsmen who are involved in the inheritance of traditional crafts, food, and forestry will be responsible for the future of the region. We propose the creation of a platform that connects children and contributes to the development of successors to traditional industries. Specifically, the goal is to set up a “manufacturing studio” where children and craftsmen can foster their creativity together, and to create a foundation for new businesses and indigenous entrepreneurs centered on them.

第3章では、地域と協働で展開したまちづくり学習が生徒らの意識とスキルに与えた影響を詳しく分析した。この分析は、生徒らが地域認識、まちづくりへの参加意識、地域課題への創造的解決能力、そして地域との共創力の面でどのように成長したかを複数年度のデータをもとに明らかにすることを目指した。分析では、2019年度から2021年度に入学し、2024年3月までに卒業した三つの生徒群を調査することで、各グループがこれら四つの側面でどのように進化したかが判明した。具体的な例を挙げると、2019年度に入学し、3年生時に1年間のみプログラムに参加した生徒群は、インターネット調査を通じて高野町の魅力や課題に対する新たな認識を得たが、直接的な体験の不足から深い理解には至らなかった。また、町長への提言活動や建築模型作成を通してまちづくりへの参加意識と創造的解決力を高めたが、地域との共創力の顕著な向上は見られなかった。一方、2020年度に入学し、3年間連続でプログラムを受講した生徒群は、タウンウォッチングや伝統産業体験を通じて地域資産への深い理解を得て、地域への愛着が高まり、自分たちの活動が地域に良い影響を与えているという実感を得ていた。このグループは、特に3年目に地域と協働したことで、まちづくりへの参加意識と共創力を高めている。更に、2021年度入学の生徒群も3年間連続でプログラムを受講し、その成長は特に目覚ましかった。彼らは、高野山の自然や文化に誇りを持ち、人口減少や観光業の課題への敏感さを増し、地域資産を活用した実行可能なアイデアを提案し始めた。3年生になると、高野山の魅力を表現したオリジナルフードの開発と販売を通じて創造的解決策を考案し、地域との連携スキルも向上し、地域への積極的な貢献を実感するようになった。
以上の分析から、2021年度入学の生徒群が、地域認識、まちづくりへの参加意識、創造的解決力、および共創力の全ての面で最も大きな成長を遂げたことが示されたが、これには異学年間の交流活動と社会実験活動の導入が特に重要な役割を果たしたことが分かった。さらに、年度を重ねるごとに、生徒らが地域との繋がりをより深め、学年を超えた知識と経験の共有を促進する、連続的な学習の積み重ねが見られ、この学習サイクルが、生徒らのまちづくりに対する総合的なスキルと理解を大きく向上させる基盤となったことが示された。

第4章では、地域と協働で展開したまちづくり学習が教員と参加した地域住民の意識やスキルに与えた影響を分析し、このプログラムが教員と地域住民間の相互理解と成長を促進する実践的な枠組みをどのようにして提供したかを明らかにした。
まず、このプログラムは教員にとって、教育方法に大きな革新をもたらした。生徒たちが地域社会と積極的に関わり、地域資源を利用しながら学ぶことで、教員は授業での多様性と柔軟性を追求する必要性を理解し、これが教育の質を高めることにつながった。具体的には、2020年から2021年の間(第1期)に、教員らはまちづくり学習を通じて、高野山の豊富な地域資産に気づいた。続く2022年から2023年(第2期)では、観光客の多様な期待やニーズを理解し、地域の魅力や課題への深い洞察を得て、地域の文化や伝統への認識を深め、このことによりまちづくり学習の持つ意義に理解を深めた。授業運営スキルの面では、第1期にはクリエイティブな学習アプローチや生徒主体の学習が重視されはじめ、第2期には異学年間の交流を促すことで、教員間の協力も強化され、生徒の自立と主体性を支援する対話型の教育方法へと移行した。地域との共創力の面では、COVID-19の影響で共創の機会が制限された第1期に比べ、第2期には地域との連携を深め、具体的な問題解決に取り組むことで、地域資産を活かした授業の企画が進んだ。これにより、地域と学校が共に持続可能な教育プログラムを構築する方向へと進展した。
一方、地域住民は、生徒らの情熱と創造力を通じてまちづくり学習の価値を新たに認識し、共に地域の問題解決に取り組むようになった。第1期では、COVID-19の影響で直接的な共同作業が難しい中でも、町長や行政が子供たちの活動の重要性を見いだし、支持を始めた。第2期には、生徒らの観光振興に関する提案が地域住民から高く評価され、その結果、地域活性化への貢献が認識され、子供たちの活動への支持と理解が一層深まった。それに伴い、地域住民の間でまちづくり学習への参加意欲も高まり、様々な関係者が地域の課題解決のために、子供たちの学習活動へ協力する動きが進むとともに、まちづくりの実践的な取り組みの重要性について理解を深めることに帰結した。

第5章では、4年間のまちづくり学習プログラムが生徒、教員、地域住民の意識とスキルに与えた影響をまとめ、地域と学校の協働による効果的なまちづくり学習をどのように作るか提案した。この提案には、学習者が地域の問題を深く理解し、地域と共に実現可能な解決策を見つけ出すための10の効果的な学習方法が含まれる。これらの方法を基に、高野山のような地域で中学生を対象にした3年間のまちづくり学習プログラムを考案し、その段階的な導入方法についても論じた。このプログラムは、1年生の段階でイメージマップやマインドマップの作成、地域住民や外部の人々との対話、まちなかでのアイディア検討、模型作成、そして地域住民や首長とのディスカッション活動を通じて、生徒が次年度の研究テーマを探求することから始まる。続く2年生と3年生の段階では、前年度の学習を基に設定された課題に対し、異学年交流グループで実際にまちづくりのアクションに取り組み、その成果を地域住民らと共有する。このように段階的かつ体系的に進めることで、生徒はまちづくりの過程に積極的に参加し、学びを深めながら地域に貢献することができる。
また、本章では、まちづくりの専門家として筆者が密接に関わったことで、生徒、教員、地域住民の意識変化を促し、地域問題への理解や持続可能なまちづくりへの共感を深めることができたことも言及している。
総じて、本研究は、地方地域の人口減少問題に対応するために、高野山中学校で行われた「ふるさと学習」プログラムを事例にまちづくり学習の有効性を探求し、教育者と地域住民が互いに理解し合い、協働でまちづくり学習を実践する方法を実践的および理論的に提案した。特に注目すべきは、教員の地域意識と指導スキルの変化、そして地域住民の子どものまちづくり参加に対する意識の変化に焦点を当てた点で、これはこの分野の研究に新しい貢献をもたらした。具体的な成果として、異年齢間の交流や実践的な活動が、生徒、教員、地域住民の意識やスキルの向上に大きく貢献したことを明らかにしたことが挙げられる。さらに、学校と地域が協働で取り組むためのプログラムの提案も行い、学校教育と地域との協働モデルの発展に寄与している。
